私鉄特急
ちょうど今月のピクトリアルがレッドアロー50周年ということで、5000系のこともだいぶ詳細に触れている。
それで、ふとこの本のことを思い出して実家から取ってきた。
山と渓谷社 発行は昭和53年10月30日で、私が手にしたのは翌年の夏。ちょうどいちばん多感なころの、私鉄花形電車が網羅されている。関東私鉄で言えば東武DRC、急行だが1800りょうもう、東上線「みつみね」、関西の南海は初代ズームカー「こうや」1001系「四国」一般車7001系による本線特急、キハ5501の「きのくに」など。
懐かしいというよりは、自分的にはそれがデフォルトみたいな世界がそこにある。
撮影は広田尚敬氏、解説文は吉川文夫氏という、当時のゴールデンコンビ。
吉川氏は軽妙な文体で定評があったが、早世してしまわれたのが惜しまれる。
広田氏の写真に最初に触れたのは、以前紹介した子供向けの本「れっしゃ」だったが、本作でも非常に美しいカラー写真が多数掲載されいる。
この時代の写真事情にそれほど詳しいわけではないのだが、ほとんどの写真は35mmカメラ(キヤノンF1)で撮影されている。京王だけは中判で撮られているが、ほかはF1、レンズも50mmF1.4をF4ぐらいに絞って使っているのが中心。
フィルムはKR(コダクロームのISO(当時はASA)64)が多い。これが当時の商業写真の、標準的な撮影機材、フィルムだったのでしょうね。
特に50mmレンズの多用は、懐かしいというかなんというか、ちょっと考えさせられます。今だとまず、こんなきれいな構図で撮影の出来る舞台があまりなくて、いきおい高倍率ズームでかつかつに撮らないといけなくなってしまうような気がする。
こんど、単焦点レンズばかり持って、撮り鉄に行ってみようかしら。
あまり誌面を引用するのは考え物だが、こちら、阪急三宮の、あの印象的なアーチに入っていく5100系。
ちょうど先週は1.17から25周年ということで、テレビでも追悼ドラマとかをやっていたので、ページをめくっていてふと手がとまった。
広田氏もこのビルを神戸線の象徴と捉えて、このアングルから撮影されたのだろう。
左側に時刻表か何かを眺めている、この頃にしてはすらっと背の高い感じの若い女性が映っている(人物がおおく映りこんでいるのも本書の特徴だ。今だったら色々難しい話になるのかもしれないな。。)。この方も震災をくぐり抜けて、今頃どうなさっているのでしょうか。。
そんなことを考えさせられる一冊でした。
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