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2013年9月15日 (日)

レイアウトモデリング、レイアウトテクニック

以前にレイアウト全書のことを書いたが、同じようなレイアウト関係の特集本としては、1967年発行の全書の後、72年にレイアウトモデリング、73年にはレイアウトテクニックと続けて出版されている。翌年に出たシーナリィ・ガイドは実物関係の特集だし、76年に出たナローゲージ・モデリングは、ナローの実物、車両、模型全部を扱っている。80年代以降にもレイアウト関係の特集は出ているが、一応、全書、モデリング、テクニックの3冊は、日本の鉄道模型発展期の、レイアウト事情を今日に伝える貴重なまとまった資料となっている。

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レイアウトモデリング:巻頭カラーと、前半部分は坂本衛氏の「摂津鉄道」の一連の記事が掲載されている。坂本氏はさいきんも日経新聞のコラム(32面の文化欄)に記事を載せておられており、鉄道、模型関係では相当有名な方だが、これらの記事は氏のかなり若い頃に書かれたものだ。

レイアウト設計に至るまでの、心境の変化-最初は雄大な渓谷や複雑な線路配置などに惹かれていたが、車掌乗務中に車窓から見た平凡な農村の風景を見て、この田園風景にこそ美が宿っている、と言うことに気づく。これを読んだのは11歳の頃だったが、なんというか、そのわびさびにも通ずるような哲学的考察に、訳もわからず影響を受けた。その影響は-トラウマと言っては語弊があるが-今日まで自分の中に残っているのではないかと思う・・鉄道模型一つ作るのにも、哲学があるのだ。

とはいえ、当時の自分から見ても、摂津鉄道に表現された風景は、どこか遠くの国のエキゾチックな風景であったこともたしかだ。カラーグラフにはC10が牽くナハ22000系の写真があるが、せいぜいオハ61(の写真)しか知らない子供には、ものすごく古い世界のように見えた。

Nゲージのレイアウトが二つ、掲載されている。今見ると何ともないが、当時はものすごく斬新なものだったのだろうな。話は飛ぶが、保育社のカラーブックス、山崎喜陽著「鉄道模型」に、大阪の米人ショール氏の手になる組み立て式レイアウト(N)の写真がある。モデリングの記事と同じ頃の写真に見えるが、いつ頃のTMSに載っているのだろう?

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レイアウトテクニック:失礼、裏表紙しか残っていないので・・。なぜか昭和50年10月6日に製造された調理パンの、シールが貼ってあるcoldsweats01

買ったのはこちらの方が古く、’74年秋だ。小学5年生の子供が読むと、日本語としては理解できても、全体的には完全に大人の世界で、訳がわからなかったはずだ。

しかし、不思議と編者の山崎喜陽氏が持っている、啓蒙的な意思は伝わってきて、よし僕ももっと「高級な」鉄道模型を目指さなければ、と思ったりした。そして、ペーパータオルというものがなんなのかよくわからずに、ちり紙を石膏に浸してぐずぐずにしたり、油絵の具をサラダ油や灯油で希釈してべとべとになったり部屋中石油臭くしたり、砂場から持ってきた砂をばらまいて部屋中砂だらけにし、ポイントが動かなくなったり、とにかくありとあらゆるめちゃくちゃなことをしまくって、買ってもらった鉄道模型セットを台無しにしてしまった。こどもがこんな本を読んではいかんのである。いや、だからそれはこの本のせいじゃないってば。

またまた話が飛ぶが、この頃、駅の待合室などに行くと、「悪書追放箱」というのがあったが、レイアウトに’70年代の時代感覚を表現するには格好のアクセサリーになる、かな?

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表紙が取れてしまい、一番表側でのこっているのがこのページから。
雲龍寺鉄道祖山線である。
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樹木の表現など、時代を感じる部分もあるが、線路配置、全体の色合いなど、今日でも十分に通用する、優れたレイアウト表現だ。荒崎氏の記事も、最初はコンセプトから始まっていて、ブレーキシューのついた機関車、そのためには・・・、おかしな帰納法ですが・・という名調子がつづられている。

山崎氏の意思、と書いたが、この時代のTMSには、日本の鉄道模型界をある方向に導いて(引き上げて)いこうとする-欧州大陸系のトイ的なものではなく、アメリカのシリアスな鉄道模型の考え方にちかいもの-が、背後の流れとして感じられることがある。おそらく山崎氏という人は、アメリカを範に取りながら、戦後日本の鉄道模型界を自らの手で方向付けたいという意思を、強く持っていたのだろう。詳しい事はわからないが、70年代に入ると模型界も層が厚くなり、山崎氏個人の影響力も、以前よりは小さくなっていく。本書に掲載されているように、山崎氏個人が技法などを紹介することも、次第になくなってくる。

山崎氏がこの時代この世界の、カリスマであったことはたしかだ。戦後の日本の鉄道模型界は、彼の意向が非常に強く働いていた。

私が子供の頃既に、「とれいん」の松本氏とかも活躍し始めていたし、さいきんではメーカーの井門氏が一家言を持ち、自らの主張を込めて製品を出したりもしているが、やはり今と昔とでは時代が違う。想像でしかないが、鉄道模型に限らず、むかしは日本の社会全体がもっとコンパクトだったのかも知れない。

とにかく、70年代半ばを過ぎると、TMSの論調もすこしずつ変わってくる(たぶんその節目は、'78年頃なのではないかと、今のところ思っている)。その後も誌上には数多くの優れたレイアウトが発表されたが、それらに感心はしつつも、私にはなにか物足りないというか、どこかで「方向性」を求めたくなるような、妙な感情が残ってしまうようになった。

なんかだんだん話が堅くなってきたが、昔のレイアウト(模型)には時代を超えた良さがある、というのが私の持論だ。ハイレゾがなんだとか、PCオーディオなんちゃらという時代になっても、アナログレコードをのんびり回すのが楽しいように、縦型モーターとインサイドギアの電車も生き残っていて欲しいと思う。

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